2010年03月09日

100年の祝福(その2)

前回からの続きです。

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2008年にベルトーネは破産宣告を受け、存亡の危機に直面したのですが、紆余曲折を経て最終的にフィアットグループが経営危機の元凶となった車体製造部門を買収する事で三大カロッツェリアのうちの一つが消滅してしまうという最悪の事態は避けられました。

今回のジュネーブショーでは倒産以来初めての出品となり、アルファの創立100周年を祝うためのコンセプトモデルが「パンディオン」です。もちろん、新生ベルトーネとして復活を果たした事をアピールする重要なモデルでもあります。

車名のPandionとは、鷹の仲間であるミサゴのことです。

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パンディオンはデュエットッタンタと比較すると「ザ・コンセプトカー」と言えるほど現実的な部分を排した純粋なデザインコンセプトモデルですが、唯一現実味を感じるのがフロントマスクです。パンディオンは次期ブレラの提案モデルとされているだけに、切れ長のアウトラインの中に丸いベゼルを配するなど、現行ブレラのテイストを意図的に残している事がわかります。

この顔つき、どこかで見たなぁと思いましたが、「スターウォーズ・クローンウォーズ」に出てくる共和国軍のクローントルーパーが被っているヘルメットのデザインに似ているのです。ボディカラーが白だけに余計にそう見えます(笑)

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リア回りはこれまで見た事のないデザイン処理が施されていて、とても複雑な形状をしています。これはパンディオンのデザインコンセプトを端的に表現している部分です。

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サイドのデザインはフロントからリアまで途切れる事のない流れに沿った流麗なデザインが施されていますが、圧巻なのはドアの開き方で、なんとサイドパネルのほとんどが垂直に立ち上がるというド派手な構造になっています。ここまでくるともはや「ドア」と言っていいものかどうか迷いますが、インパクトは絶大です。長年コンセプトモデルを手掛けているだけあって「ショーの華」としての演出はさすがですね。

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ちなみにこのドアが開いている状態を正面から見たものがパンディオンのロゴマークのデザインにも盛り込まれていて、ドアの構造もミサゴが獲物である魚を捕獲し、水面から離脱する際に翼を上に持ち上げる時の姿勢からヒントを得たものだろうと思います。

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パンディオンの開発に際して、ベルトーネのデザインチームは自然界に存在する様々なものからヒントを得て内外のデザインに反映したようですね。実際の現場ではこのようにコンセプトを示したものを大伸ばしにして壁やボードに貼り、チーム内で意識の共有をしています。

量産デザインの場合はここまでダイレクトに実際のデザインに反映する事はあまりありませんが、コンセプトを導き出す時はモノ、色、文化、生物、自然など実に様々なものから着想する事が多いところは同じです。

パンディオンに搭載されるエンジンは8Cと同じ4.7LのV8エンジンを想定しているようです。コンセプト版ブレラもV8を搭載していましたが、量産型ブレラでも開発初期にV8エンジンの搭載をジウジアーロ氏が考慮していた経緯(「そんな大きいエンジンは積みません」とアルファの設計者に一蹴されたらしい)があるだけに、やはり「ブレラはV8」という想いはベルトーネにもあるのかもしれません。


さて、今回のジュネーブショーではアルファ100周年のお祝いとして

・次期スパイダー→ピニンファリーナ
・次期ブレラ→ベルトーネ
・次期159→イタルデザイン

という三大カロッツェリアが揃って次期型のコンセプトモデルを出品するという噂があったのですが、フタを開けてみるとイタルデザインはマレーシアのプロトン向けのコンセプトカーを出品しただけで、アルファへのお祝い出品はありませんでした。

実はこれら3つの関係はそのまま次期モデルのデザイン担当となっている噂があり、実現すると三大カロッツェリアがそれぞれ別々にデザインを行うというとても贅沢なモデル群になります。

今回のジュネーブショーで次期スパイダーとブレラに関してはピニンファリーナとベルトーネが担当するのは半分裏付けが取れた感がありますが、次期159については謎のベールに包まれています。これは想像ですが、次期159に大幅なデザイン変更があり、変更前のデザインを示唆しているコンセプトモデルは改修が間に合わず、急遽出品を控えた可能性もなきにしもあらずですね。クライスラーグループとの提携と関連しているのかもしれません。若しくはイタルデザイン側に何かあったのかもしれません。

159の件は気になるものの、次期モデルがどうなるか今から楽しみですね。


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2010年03月07日

100年の祝福(その1)

今年、2010年はアルファの創立100周年という大きな節目の年です。その記念としてアルファと縁の深いカロッツェリアであるピニンファリーナとベルトーネが揃ってジュネーブショーにコンセプトカーを出品しました。

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まずはピニンファリーナの作品から・・。
実はピニンファリーナも今年で創立80周年という記念すべき年で、自社の創立記念とアルファへのお祝いという二つの思いが込められているのが「2uettottanta」(デュエットッタンタ)です。粋ですねぇ。

ちなみに「2uettottanta」とは、duettoの“o”とイタリア語で80を意味するottantaの“o”を重複させて合成した造語です。

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「デュエット」という名前からもこの作品は1966年にピニンファリーナがデザインを担当してデビューしたスパイダーデュエットをモチーフにして作られた事がわかります。ボディサイズもデュエットとほぼ同じになっていますから、写真で見ると大きく見えますが、実際は小柄なボディです。

個人的にもデュエットの美しさは別格で、歴代アルファの中でも屈指のデザインだと思っていて、縁があったらいつかは所有してみたいクルマの一つですね。

デュエットは「ボートテール」と呼ばれる小舟からヒントを得た優美なリアデザインに特徴がありましたが、皮肉な事にデビュー当時は70年代に向けた直線的な未来派デザインが最新トレンドだったため、丸みを帯びたデュエットは「古臭い」などと酷評され、わずか2年でその特徴的なリアデザインは大幅なデザイン変更を受けました。それ故、このデュエットは現存する個体は少なく、貴重なモデルとなっています。不幸な歴史があったものの、このデュエットを祖にしたスパイダーモデルは90年代前半まで数回のデザイン変更を挟みつつも30年近く販売され続けた超長寿モデルでした。

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フロントのデザインはヘッドライトとリアコンビでデザインが反復されており、ヘッドライトの位置と相まって全体にかなり低重心なイメージになっています。サイドのウエストラインから繋がるフロントフェンダーの稜線は盾グリルに向かって収束しているので、大きなV字型を描くワイドで塊感のある造形になっています。

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リアのデザインは一転して極力薄く見えるようにデザインされており、これは歴代スパイダーに共通するオープン2シーターモデルとして軽快感を出すためにピニンファリーナが用いる伝統的なデザイン手法です。見た目だけではなく、リアバンパーの下側を切り上げる造形はフロアからの気流を綺麗に流すための空力的造形でもあります。2シーターである事を主張する大き目のバルジがリアエンドまで滑らかに繋がっていますね。

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サイドのデザインを見ると、このモデルがデュエットと同じFRレイアウトを前提としてデザインしている事がわかります。縦置きエンジンを示すロングノーズでリアタイヤの直前にシートを配置する典型的なFRオープン2シーターモデルのデザインです。ちなみにこのモデルに搭載したエンジンは159/ブレラに搭載されている1750TBiと同じ1750ccターボエンジン(200ps)ですが、この排気量もかつてのスパイダーシリーズとの共通点があって、敢えて採用したのだと思います。ボディを一周するベルトライン下の造形は大きなインバース面(凹面)になっていて、これもデュエットからのモチーフとなっています。

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インテリアはシンプルそのものです。スポーツカーのインパネはこうでなくては。ステアリングの下端が地味にフラット化されいますね。メーターバイザーもアルファ伝統の2コブデザインです。上から見るとドアノブはなく、プッシュボタンでドアを開閉する構造になっているのがわかります。やはりオープンカーに女性が乗っているのは様になりますねぇ。ドアミラーのデザインは現行ブレラ/スパイダーからの流れを感じます。


次期スパイダーの提案モデルとされるデュエットッタンタですが、現時点では完全なるコンセプトモデルですから、このままのデザインで量産になることはないと思いますが、モチーフとして量産型に引用される可能性はあるかもしれません。

次回の日記ではベルトーネのモデルについて触れたいと思います。


posted by neko at 14:35| Comment(0) | TrackBack(0) | カーデザイン考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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